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家庭が抱える問題にはそれぞれの事情があり、安易に他人が踏み込むべきではない。そしてもし踏み込んだとしても良い方向に状況が変わるとは限らない。『その叫びは聞こえていたのに 消えた母子をめぐる物語』(きむらかずよ/KADOKAWA)は、児童福祉を担当する民生委員の女性とひとりのシングルマザーの出会いを通して、社会的に孤立した母子の現実を描いたセミフィクションだ。


主人公は民生委員のカヨコ。ある日、カヨコが担当エリアの「赤ちゃん訪問」をしていると、訪問した家の18歳という若い母親の顔を見て20年前に親友だったナルミの記憶が蘇る。当時、カヨコはクラスメイトとの付き合いがあまりうまくいっておらず、ナルミも母親が夜の仕事をしているということでクラスで浮いた存在だったこともあり、いつしかふたりは親友といえる間柄になっていた。しかし小学5年生のとき、ナルミは母親と一緒に突然いなくなってしまい、それっきりとなったのだ。


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