好きだと思う事物に勤勉でいることに美徳を感じている。これはアルバイトに費やす時間が音楽に割ける時間を遥かに凌駕していた貧乏暇なし時代を経てきた私にしてみれば、至極当然の結果だと言えよう。闇雲にではなく、時間を割きたいと思っていたことに思い切り従事する、それは生きていく上で最も重要であることのように思う。それこそが人間でいることの醍醐味、心血を注ぐ先を見つけた人間のあるべき姿だとすら思っている。だから美徳なんて言っちゃっても恥ずかしくない。
で、現在。それが、「思っていた」になりつつある。はい、これ今回のテーマです。
ただ、何もこれは考え方が180度変わってしまったということではなく、35度くらい変わったという意。勤勉でいることに美徳は感じているが、勤勉こそが美徳という極端な考え方ではなくなってきたという意味である。
三十歳手前まで心の底から渇望していたのは、音楽家稼業と胸を張って言えるような毎日を送ること。すなわち、音楽で忙しくなること、音楽に追われるような日々だった。音楽をやっているということと、ご飯を食べることが分断せずに直結し、それこそが生活と呼べるようになること。音楽でてんやわんやになることは、至極贅沢なことだと考えていた。