
出産経験のない女性のもとに、ある日突然「あなたの子どもです」と少女が訪ねてくる。少女は、女性の“卵子提供”によって生まれた子どもだった——。『egg わたし、あなたの子どもです。』(鳥野しの/KADOKAWA)は、他人の卵子や精子を利用することで誰でも子どもをつくることができる制度“egg”がある架空の社会の物語。
本作では、ドナー(卵子提供者)とレシピエント(卵子提供によって生まれた子ども)の人生の交わりを描く。二者は求め合うことも求め合わないこともあるが、その関係は複雑だ。親になる資格とは? セクシュアリティとは? そして人間同士のつながりとは? 人と人との在り方について改めて考えさせられる本作に込めた想いを、著者の鳥野しのさんに聞いた。
——レシピエント(卵子提供で生まれた子)の少年を育てていた女性は、子どもの夢を叶えたい思いと経済的事情の間で板挟みになっていました。そんなとき、「あなたの息子を引き取りたい」と連絡が届きます。女性は葛藤の末、少年との別れを選択。やがて大人になった少年は当時を振り返り「あのとき俺の手を放してくれてありがとう」と語り…。どのような思いでこのふたりの着地点を描いたのでしょうか。