
『カラフルアンチノミー』(シバタヒカリ/祥伝社)は、「自立した大人になりたい」と願いながらも、誰かに甘えたい気持ちを捨てきれない30歳会社員・月岡文の揺れる心を描いた作品。マッチングアプリでの出会いをきっかけに、凝り固まっていた価値観が少しずつほどけていく「脱モラトリアム」の物語である。
文は人の目を気にしすぎるあまり、自分の本音よりも「こう見られたい」という基準で行動してしまう。精神的に自立した女性でありたいと思う一方で、無条件に肯定されたい気持ちもある。そんな矛盾を抱えたまま日々をやり過ごしていた彼女は、後輩に勧められて始めたマッチングアプリで思いがけない出会いを経験する。プロフィール写真通りのかっこいい相手に胸を高鳴らせるが、現れた須良は男性ではなく「女性」だった。