※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年6月号からの転載です。

時間を見つけては本を読むのが好きという染谷さん。中でも本書には、「感情をかき回された」と語る。
「高校生のバーナムと退役軍人の男が、ある重大事件へと至る過程を描いているんですが、二人の心理の変化があまりに自然で。誰にでも起こり得ることだと恐怖を覚えました」
ページをめくる手が止まらず、物語と同じ時間を自分も生きていると感じるほど没入した。
「事件は永遠に続くかのようで、でも終わったらあっという間だった気もして。読後は事故に遭ったようというか(笑)、茫然自失でした。実際、事件や事故に遭うと、人は事象の処理が追いつかず時間感覚も失って、やはり茫然とするものなのかもしれません。そういう意味でも、僕はこの小説の中の人たちの体験を、共有できたのだと思います」