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担当編集を癒すために書かれた小説『喫茶ドードー』シリーズ。店名の由来や、物語に込めた想いとは【第3弾刊行記念・標野凪インタビュー】

2024年9月10日

  •  おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」を舞台に、訪れる客の心と体を店主そろりの料理が優しくほぐしていく連作短編集。累計25万部突破、読者自身も癒されると人気のシリーズだ。『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』に続き、第3弾『いつだって喫茶ドードーでひとやすみ。』が2024年8月7日に刊行された。カフェを経営する著者自身の体験も踏まえて描かれた、本シリーズの誕生背景や物語に込めた想いとは。


    ――森の奥にあるおひとりさま専用カフェ・喫茶ドードー。「自己肯定力を上げるやかんコーヒー」(1巻)や「時を戻すアヒージョ」(2巻)、「白黒つけないケークサレ」(3巻)など素敵なメニューに癒されてお客さんたちが自分自身をとりもどしていく連作短編集です。その設定はどのように思いつかれたのでしょう?


    標野凪(以下、標野) 私を癒す物語を書いてください、というのが担当編集者からの最初のオーダーだったんです。毎日一生懸命に働いて、もちろんやりがいのある瞬間はあるけど、疲れて自分自身を見失うこともある。そんな日々を潤してくれるような物語を読みたいと。食をテーマにした小説でデビューしたこともあり、おいしいものを登場させてほしいとも言われていたので、舞台は、彼女のように頑張る女性がふと立ち寄ることのできる喫茶店にしようと決めました。私自身、コロナ禍で飲食店を営んでいたこともあり、くたくたに疲れていたんですよね。毎日、家に帰るたびに「ああ、今日も生き延びられた」とほっとしていたので、訪れた人が心を守られるような気持ちになるような、逃げ場としてその喫茶店が機能してくれたらいいなと。

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