ダ・ヴィンチWeb

  • 年齢を重ねていけばいくほど、夢を追うにも、生活を仕切り直すにも、若い頃のように勢いまかせではいかなくなる。『起承転転』(雁須磨子/太田出版)は、そんな壁にぶつかった50歳で無職の独身女性を主人公に、彼女に訪れた人生の新展開を描いた物語だ。


    主人公の葉子は、18歳で上京してから32年間、役者を続けてきた。しかし成功することなく、50歳になった彼女はついに「売れない役者」をやめて故郷の福岡に戻ることを決意する。しかしお金も、体力も、職もない50歳という現実は、葉子にとって大きな重荷となっていた。


    思い描いていた自分になれなかったことを受け止めざるを得ない葉子の心情と、そして結婚せず、母親にもならなかった彼女が、しんどい時に心の中で母親に助けを求めてしまう姿を見ると、中身は子どものままで年齢だけを重ねてしまったという後悔や悲しみが伝わってきて胸に刺さる。


  • 続きを読む