※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年6月号からの転載です。

映画史にも演劇史にも名を刻む『カッコーの巣の上で』。刑務所での強制労働を逃れるため精神異常を装うマクマーフィーという男が、精神病院に入院する患者たちの心に光を差し込んでいく。坂東さんは患者のひとり、吃音をもつ青年ビリーを演じる。
「はじめて映画を観たのは小学生のころ。やがてビリーが迎えることになる結末の衝撃ばかりが印象に残っていました。でも、今回のお話をいただいて改めて見返してみたら、対立するだけと思っていたマクマーフィーと看護婦長のあいだに恋愛にも似た心の交流があったり、マクマーフィーが患者たちを連れて病院を抜け出すシーンは青春劇のような爽快感があったり、決して絶望を描くだけの物語ではなかった。とある女性に恋をするビリーのまなざしを含めて、愛くるしさにも満ちた物語なんだと気づかされました」