『怪異の介護』(コイケナツキ/新潮社)は、「怪異も老いる」という斜め上の発想から生まれた介護×妖怪というコメディである。
舞台となるのは、認知症や体の不調を抱えた怪異たちを受け入れる介護施設「阿弥陀」。所長を務める謎の人物・ミロクのもとに、就職希望者の新人介護士・久世観音が訪れることから物語は始まる。
阿弥陀に入所しているのは、かつて人々に恐れられていたが老いには勝てなくなった「伝説の怪異」ばかり。「キレイです」が聞こえなくなった口裂け女、自分の顔を忘れてしまったのっぺらぼう、免許返納を迫られる首無しライダー、変身の仕方を忘れた狼男など、怪異の症状は人間の高齢者とまったく変わらない。「妖怪だから怖いまま」ではなく、「妖怪なのに老いる」という切なさの構図が斬新だ。