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  • 『三日月の国 オスマン千夜一夜』(桃山あおい/新潮社)は、16世紀のオスマン帝国を舞台に、栄華を誇る帝国で働くさまざまな人々の物語が描かれる、オリエンタル歴史ロマンである。


    第1巻では、宮廷工房で働く新人絵師・レオの夢と成長がメインで描かれる。レオの夢は、帝国一の絵師になることだ。しかし現実は甘くなく、宮廷工房で働いてはいるものの彼の図案はなかなか採用されない。才能への焦り、認められたいという気持ち、そして壮麗な帝都を彩る仕事に携わる誇り。そうした若者らしい感情が入り混じる中、くじけず努力を続けた結果、ついに初めての仕事を成功させる。しかし、そんな彼が、ある日思いがけない理由で逮捕されてしまい……。


    本作の魅力はオスマン帝国という舞台で、「働く人々」の目線から描いているところにある。宮廷工房、職人、絵師、後宮に仕える人々など、帝都を支える無数の営みが物語の中心にある。歴史物語でありながらそこにあるのは派手な英雄譚ではなく、手を動かし、悩み、工夫しながら自分の役目を果たそうとする人々の姿だ。


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