『WWM -極悪レスラー、ママになる-』(しまだ:原作、初瀬白:漫画/KADOKAWA)は、リングの上では観客を震え上がらせる極悪レスラーが、家に帰ると育児に苦戦する新米ママになるというギャップ全開の育児コメディである。
主人公・孤魔千(こまち)は、血と涙の雨を降らせる悪役女子レスラーであると同時に、リングを降りると赤ちゃんを育てる新米ママ。試合中は観客からブーイングを浴びせられ、家では夜泣き対応やおむつ交換に明け暮れて寝不足と戦う毎日。リングではバットやパイプ椅子を振り回していたレスラーが、ベビーカーでの外出に苦戦し、保育園に子どもを預けるときには後ろ髪を引かれるという、試合で見せる姿とのギャップがコミカルでありながら、「どんなに強い人でも育児の前では初心者なんだ」という安心感を覚える。ボロボロになりながらも前向きな孤魔千の姿が、とにかく笑えて共感できるのだ。
第3巻では、「産後」の過酷さに踏み込んでいるのが印象的だ。孤魔千に「床に這いつくばらせますわ!」と高らかに宣言していた悪役令嬢レスラー・黒鉄エリザベスが、実際には産褥期のしんどさで床に這いつくばっているという導入からして強烈だ。さらに、ワンオペ状態の彼女のもとへ、先輩ママである孤魔千が泊まり込みでサポートにやって来る。仕事ではライバル同士でありながら、リング外では敵味方の垣根を越えてタッグを組む姿には熱いものが込み上げてくる。