『ドーナツ屋の夜のつれづれ』(煮込みそ:著、古池ねじ:原作、青井秋:キャラクター原案/KADOKAWA)は、古池ねじ氏の同名小説を漫画化した、深夜のドーナツ店を舞台にした心温まるヒューマンドラマだ。
東京で暮らす主人公の信也は、優秀な兄に対する劣等感をこじらせ、大学受験に失敗して鬱々としていた。思うように前へ進めずにいた彼は、父親の提案で京都にある祖母の店「カナドーナツ」を手伝うことになる。しかし6年ぶりに訪れた店は当時の素朴なドーナツ屋ではなく、女性客でにぎわう今どきの店に様変わりしていた。体力的に厳しくなった祖母が一見チャラそうなイケメン・レンに店を任せていることもあり、思い出とはほど遠いその光景に信也は戸惑う。
しかし、ひとつだけ変わっていないものがあった。口にしたドーナツの味が祖母が切り盛りしていたころのままだった。実は、レンは「儲かるとは思っていない、それでもこの店とドーナツが好きだから続けたい」という誠実な思いで店を守り続けていたのだ。そんなレンに翻弄され、ときに甘やかされながら、信也のクサクサとしていた心が少しずつ変わっていく。そして信也は店で手伝いをしながら過ごすうちに、カナドーナツに集まる人々の姿にも目を向けるようになる。