ダ・ヴィンチWeb
  • 夢の国で、私は焦っていた。楽しみにしていた被りもの選びが終わらない。まるで悪い夢をみているように、どれもしっくりこないのだ。


    数年振りのディズニーランド。醍醐味の一つといえば、キャラクターアイテムを身にまとい、浮世離れした姿でパークを闊歩することだろう。事前にネットで全ラインナップをチェックし、お目当てをスクショ。朝一番に入園し、ショップを見つけては手当たり次第に吟味を続けた。


    それなのに、人々が続々とカチューシャなりヘアバンドなりを手に入れる中で、私だけがお気に入りを選びきれないでいる。被りものは自分という人間を示す決意表明のようにも思えてきた。アイデンティティと言ってもいいのではないか。どれを選ぶかでどう見られるかが決まってしまう気持ちにすらなっていた。とうとう日が傾きはじめた園内で、私はまだ私を見つけられずにいた。


  • 続きを読む