※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年6月号からの転載です。

今回の舞台となる「奈良県」は、歴史的な文化財の宝庫だ。「法隆寺地域の仏教建造物」「古都奈良の文化財」「紀伊山地の霊場と参詣道」と3つの世界遺産を有し、国内外から大勢の観光客が足を運ぶ。悠久の歴史が漂う奈良には、唯一無二の魅力があるのだろう。そんな土地で暮らす人々の本棚にはどのような作品が並ぶのか。
東大寺 別当 橋村公英さん

仏になるための修行を華に例えた“華厳”。その経典の読み方から思想まで、華厳の世界を詳らかにする。「難しさ、平易さ、詳しさ等とは趣の異なる、先生の“華厳の教え”にかかわる“きびしさ”と“やさしさ”に魅かれて、何度も手に取る一冊です」

仏教者が戦争に巻き込まれたとき、一体なにができるのか。釈尊の戦争観を繙く。「人の心と行いが時として悲惨な結果を結んでゆくさまが、伝承では“縁起”や“業”の視点も示しながら語られてゆく。戦争について考えるとき、振り返りたい一冊」

仏教における戒とは、日常生活の手本となる教えのこと。それを実践するための入門書。「生きてゆくことを歩むうえで、多くのヒントがちりばめられている。“戒”と“慈悲”を、右と左の両目で受け入れられる社会の生き方を垣間見させてくれる一冊」
[東大寺]
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