『舞妓をやめたそのあとで』(松原彩/KADOKAWA)は、15歳で京都の花街へ飛び込み、舞妓、そして芸妓として生きた著者・松原彩氏が、引退後22歳で定時制高校へ進学するまでを描いたコミックエッセイ。
松原氏は、中学卒業後の15歳で地元を離れ、京都の花街で舞妓の道へ進んだ。置屋での暮らしや仕込みさんとしての日々、お稽古、独特の作法や言葉、厳しいルールなど、舞妓の華やかさの裏側には想像を絶する地道な修業と、同世代とは違う青春があった。
花街をただ「特別な世界」という描き方をしていないところが魅力だ。初めは雑用と稽古に明け暮れる置屋での暮らしや、「だらりの帯」「おこぼ」といった専門用語、日本髪を維持するため洗髪は週1回だけといった知られざる文化と習慣を紹介しながら、同時にそこで生きる年頃の少女たちが持つ等身大の楽しみや悩みも同時に描かれている。スマホ所持禁止、一人でファストフード店への入店禁止など制約がありながら、友人や家族との手紙のやり取りや、休日に観る映画で疑似恋愛をするなど、ここにも確かに「青春」が存在することを教えてくれるのだ。