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二人一組になれなければ死ぬ。突如はじまる恐怖の特別授業、スクールカースト崩壊の結末とは?いじめと無関心の境目を描くデスゲーム小説

2024年9月19日

  • 二人一組になってください
    『二人一組になってください』(木爾チレン/双葉社)

    「二人一組になってください」――体育の授業でそう号令がかかるたび、いつも体を縮めていた。クラスが奇数だった場合、私はいつも、“余る”生徒だった。そのため、木爾チレン氏による長編小説『二人一組になってください』(双葉社)のタイトルを目にした時、心がざわざわと音を立てた。その音は、本書を読み進めるごとに大きくなった。わかりやすい悪意ではなく、無関心が人を殺すことはままある。それが実際には、“無関心を装っていた”のだとしても。「本当はずっと心配していた」なんて、後からなんとでも言える。


     本書は、私立八坂女子高校の三年一組に属する生徒たちの物語である。序盤には、生徒名簿と「三年一組カースト表」なるものが記されている。スクールカースト。現代では聞き慣れた言葉だ。一軍、二軍、三軍。同じ人間に上下をつけるカースト制度の名残は、子ども時代から社会全体にはびこっている。

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