ダ・ヴィンチWeb


たとえば、それまでの人生で出会ったことがないような属性の人を前にしたとき、恐怖してしまうことがある。どのように接すればいいのだろう、不用意な発言で傷つけてしまうのではないか――。そう逡巡した結果、碌にコミュニケーションも取らず、その場を離れてしまうのは決して珍しいことではない。「わからない存在」に対して、ぼくらはあまりにも臆病だ。でも、同時にそんな態度が正しいものではないこともわかっている。じゃあ、一体どうすればいいのだろうか。


そんな迷いに対し、真っ直ぐ答えをくれる作品がある。マンガ『僕らには僕らの言葉がある』(詠里/KADOKAWA)だ。


本作の舞台となるのは、都立丹支高等学校の野球部。そこに耳が聴こえない、ろう者のピッチャー・相澤真白が入部してくるところから物語ははじまる。彼は丹支高校初のインテグレーション生であり、聴者の生徒たちにとっては「異質」な存在だ。それはキャッチャーである野中宏晃にとっても同様だった。野中は真白のことを「障害者枠」と見なし、心の中で毒づく。ところが、なんと野中は真白とバッテリーを組まされてしまう。手話さえ知らなかった野中にとって真白は邪魔な存在でしかない。イライラが募りつつも、仕方なく投球練習に付き合うのだが、真白が投げたボールは想像以上に良い球だったことから、二人のバッテリーとしての青春が幕を開けていく。


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