学生の頃、恋をしていた。当時、私の思いが届くことはなかったけれど、その思い出は今も褪せずに胸の中にある。人が人を思うとき、それが恋であれ、友情であれ、そこで生まれる感情は、この世界をほんの少し優しくする。
第32回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞作『雨、時々こんぺいとう』(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)は、柴野日向氏が描く純愛ストーリーである。桜浜高校に通う七瀬梓と、西ノ浦高校に通う樹旭。高校生二人の出会いをきっかけに紡がれる物語は、ファンタジーの要素を含みながらも、青春ど真ん中をいく。
二人は、梓が通う高校にほど近い図書館で出会った。当初、野良猫と会話を交わす旭の姿に、梓はたじろいで逃げ出した。だが、旭は梓を呼び止め、「自分は動物と話せる」のだと主張する。そうして、実際に野良猫のぷちの言葉を梓に通訳する中で、二人は自然と打ち解けたのだった。