『アルへ』(あるた梨沙/KADOKAWA)は、17年間ともに暮らした愛犬との別れを描いたコミックエッセイだ。ペットとの日々を振り返る作品は数多いが、本作は「もっと一緒にいたかった」という、ごく当たり前で、それでいて誰もが抱いてしまう後悔とその先のことをまっすぐに描いている。
主人公は、17年間をともに過ごした愛犬・アルと暮らした著者。散歩に行き、おもちゃで遊び、何気ないけどかけがえのない毎日を積み重ねてきた。しかし、ある日アルは余命1カ月と宣告される。耳が聞こえなくなり、目も見えにくくなっていくなかでも、アルは変わらず著者の姿を探し続ける。その姿に、著者はアルと過ごしてきた時間の尊さをあらためて噛みしめることになる。
胸を打たれるのは、「もっと○○してあげればよかった」という後悔が飾らず描かれていることだ。もっとなでればよかった。もっとにおいを嗅げばよかった。もっと写真を撮っておけばよかった。17年間を一緒に過ごしたはずなのに、それでも「足りなかった」と思うのは、ペットと暮らしたことがある人なら共感せずにはいられないはずだ。