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街とその不確かな壁(上) 村上春樹 / 新潮社


村上春樹の長編小説は数多くあれど、『街とその不確かな壁』(新潮社)ほど紆余曲折を経て完成した作品は他にないだろう。


この作品は元々、1980年に『文學界』の紙面上に発表された『街と、その不確かな壁』という中編小説が核になっている。まだ専業作家ではなかった村上春樹が多忙の中書き上げたのがこの作品なのだが、その出来に本人は納得していなかったという。そのような経緯があったため、この作品は書籍化されていない。



その後、専業作家となり『羊をめぐる冒険』を書き上げたあと、『街と、その不確かな壁』を大幅に書き直し、上梓したのが『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』である。


だが、『街と、その不確かな壁』という物語が喉に刺さった魚の小骨のように気になり「異なる形の対応があってもいいのではないか」と思い始め、最初に発表した時からちょうど40年の年に村上春樹は再びこの物語と向き合うことになった。


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