「この部屋はのぞかないように」などと言われると、昔話『鶴の恩返し』よろしく、好奇心には勝てないものだ。『臓腑の花束』(ISHIDA UMI/KADOKAWA)は、離島にある祖母の家を訪れた少年が、人間ではない謎の生き物と出会うことから始まる異種族ホラーミステリーだ。
中学生の琉ノ介は、夏休みの間、離島にある祖母の家で過ごすことになる。そこで琉ノ介は、明らかに異様な空気を放っている2階に興味を持つが、祖母と暮らしている叔父からは「絶対に2階に上がってはいけない」と釘を刺される。これまでに見たこともない叔父の形相が、ただごとではないことを物語っていた。
ところが、何かに導かれるように琉ノ介は禁じられた2階へ足を踏み入れ、部屋の扉を開けてしまう。そこで目にしたのは、真っ赤な肌に白い髪の毛、尖った長い耳を持つ、明らかに人間ではない存在だった。地球上の生き物なのかさえわからない異形ながら、顔立ちだけであれば人間のようにも見える。そしてその異形の生物は、琉ノ介に向かって「ここから出してほしい」と無邪気に懇願するのだった。