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2025年の大河ドラマ「蔦屋重三郎」を予習するならこの本! 江戸の敏腕プロデューサーの激動人生を描く、傑作歴史小説

2024年10月9日

  • 蔦屋/
    『蔦屋』(谷津矢車/文藝春秋)

     2025年のNHK大河ドラマは、蔦屋重三郎の半生が描かれるらしい。タイトルは、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。横浜流星を主演としたそのドラマはどんな内容になるのだろう。確か蔦屋重三郎は、喜多川歌麿や東洲斎写楽を世に送り出した出版人だったはず。敏腕編集者と呼ぶべきか、名プロデューサーと呼ぶべきか。その功績を少しは知っているが、どんな人生を歩んだ人物なのかはよく知らない。ドラマ開始前に、少し予習をしておきたいが、いい本はないだろうか。


     そんなことを思う人におすすめなのが、『蔦屋』(文春文庫)。『この時代小説がすごい!2015年版』(宝島社)で単行本部門7位、オール讀物が主催する本屋が選ぶ時代小説大賞にノミネートされた傑作の、タイムリーな文庫化となる。著者は、『洛中洛外画狂伝 狩野永徳(徳間文庫)』(徳間書店)で知られる谷津矢車さん。この本を読むと、鼓動の高鳴りをおさえきれない。蔦屋重三郎とは、なんと熱く、そして、爽快な人物なのだろう。新しいものを作ることに命を燃やしたその型破りな人生に否応なく惹きつけられてしまう。

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