現代において我々が身近に目にするようになった人間の「負の感情」をこれでもかと突きつけてくる恐ろしい映画を見てしまった。「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016)でよく知られるヨン・サンホ監督の最新作、「顔 -かお-」である。
生まれつき目が見えないながらも韓国随一の篆刻家(落款印などを作る芸術家)と知られ、“生きる奇跡”と呼ばれたイム・ヨンギュとその息子ドンファンのもとに40年前に行方不明となっていた母チョン・ヨンヒの遺体が発見されたとの知らせが届く。イム・ヨンギュのドキュメンタリー番組を製作していたプロデューサーの提案をきっかけに、息子のドンファンは母の足跡を追うが、かつて彼女と関わった人々は口を揃えてこう言った。
“彼女は醜かった”と……。
映画は息子ドンファンの現代パートと、父イム・ヨンギュと母チョン・ヨンヒが出会った70年代の韓国を舞台に全編サスペンスフルに展開していく。