『いびってこない義母と義姉』(おつじ/一迅社)は、「嫁いびり」をテーマにした作品……ではなく、その先入観を心地よく裏切ってくれる、2026年7月よりアニメもスタートした話題のハートフルコメディである。怖そうな見た目の義母と義姉、そして名家という舞台設定から想像してしまう重苦しいイメージを心地よく裏切ってくれる作品だ。
主人公の美冶は、とある名家・鴻蔵家の庶子。母親を亡くしたことをきっかけに本家へ引き取られることになり、そこで義母や義姉との同居生活が始まる。「妾の子」ということで自分は疎まれ、冷たく扱われても仕方がない……そう覚悟していた美冶だったが、目の前に現れた威圧感たっぷりの義母と義姉は、想像とは真逆の人たちであった。
そう、ふたりは陰湿ないびりをしてきそうな雰囲気なのに、作品名の通り、いびってこないのである。むしろ義母と義姉は美冶を大切に思っているのだが、不器用すぎるがゆえに気持ちがうまく伝わらない。蔵に眠らされるのかと思えば、家長である父の書斎を与えられたり、テーブルマナーを知らないことを責められるかと思いきや、一口ずつ食べさせてもらったりと、不器用な優しさを見せる姿が絶妙な笑いを生み出し、読み進めるほどに登場人物たち全員が愛おしくなっていくのだ。コワモテなのに優しい、厳しそうなのに誰よりも思いやりがある――そんなギャップが本作の大きな魅力である。