『君がまた描きだす線』(加藤羽入/祥伝社)は、「漫画」に人生を懸けた女性たちの葛藤と再生を描いたお仕事漫画である。華やかに見える業界で、夢を追い続けることの苦しさと、それでもそこに居る理由を描いた群像劇だ。
舞台となるのは、女性向け漫画を制作する編集プロダクション「グラスキャンディ」。そこに集まったのは、大きな挫折を経験したり、人生に迷いを抱えたりしながらも、「漫画」という世界で生きていこうとする大人の女性たち。それぞれ異色な経歴を持つ、異なる立場のクリエイターたちの物語だ。生活を創作活動に捧げている彼女たちは、好きなことを仕事にしたからこそ理想と現実の間で苦しみ、締め切りや読者の評価、女性漫画市場のニーズや偏見などと向き合いながら、さまざまなことに揺れ動く。
例えば、自分だからこそできる編集の形を模索する元声優の編集者や、子どもの頃の体験から恋愛漫画を描くことに葛藤し、自分の表現したいものと読者に求められるものの間で揺れ動く少女漫画家。読者から届く一通のファンレターに励まされ、もう一度ペンを握ろうとするベテラン漫画家など。登場人物たちそれぞれのエピソードは独立していながら、女性であること、漫画で生きるということをテーマにして、ゆるやかにつながっている。