『パンを焼けない私たち』(まめこ:漫画、リケコ:レシピ監修/主婦と生活社)は、大人になった女性たちが、それぞれの人生の迷いや焦りと向き合う姿を描いたコミックエッセイである。「パンを焼く」という行動を通して、自分自身を見つめ直していく優しい物語だ。
登場するのは、高校時代をともに過ごした仲良し三人組。仕事や家事、子育てなどを経てそれぞれ異なる人生を歩みながら、「大人になればもっとちゃんとできると思っていたのに」と、あの頃に思い描いていた未来とは違う毎日に戸惑っている。そんな彼女たちは、立ち止まったときになぜかパンを焼きたくなる。しかし、そのパンも各々の抱える問題によって、思うように焼くことができない。そんな「焼けない」日々が、彼女たちの人生と重なっていく。
本作は「できない自分」を責めるのではなく、その気持ちにそっと寄り添ってくれるところが魅力だ。仕事が忙しくて余裕が持てない日もあれば、家族のために頑張り続けて自分を後回しにしてしまう日もある。夫の一言に傷つき、落ち込んでしまうこともある。それでも、少しずつ前を向こうとする彼女たちの姿は、同世代の女性の心境とリンクするのではないだろうか。