『戦争さえなければ』(てんてこまい/KADOKAWA)は、戦争によって家族も教育を受ける機会も奪われた祖母の人生を、孫である著者がコミックエッセイとしてまとめたものである。戦争の悲惨さを伝えながら、戦時下で文字を学ぶことさえできなかったひとりの女性が、50代になりその機会を得たことで、ようやく自分の人生を歩み始めることができたという実話を描いた作品だ。
戦時中の鹿児島県・徳之島。そこで幼くして戦争に巻き込まれた祖母は、飢えに苦しみ、そして家族全員を失うという過酷な現実を突きつけられる。戦争が終わっても教育を受ける機会が得られないまま大人になり、自分の名前を書くことすらままならない日々を送っていた。そうして50代となり、思い切って夜間中学校へ通い始めたことで祖母の人生は少しずつ動き出す。先生や仲間との出会いを通して学ぶ喜びを知り、ようやく自分自身の言葉を手に入れるのだ。