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赤ちゃんの小さな手に指を握られると、思わず頬が緩んでしまう。自分のことを頼ってくれているのだろうかと思ってしまうが、その反応は実は「把握反射」と呼ばれる生理現象。握っている赤ちゃん本人は、その手を自由に動かせているわけではなく、握ったものを離すことさえ難しいらしい。


赤ちゃんの身体は不自由なことだらけ。『赤ちゃんに転生した話』(茶々京色/KADOKAWA)は、そんな赤ちゃんの困惑を赤ちゃんの視点から描く成長コメディ。元社畜の男性が赤ちゃんのエミに転生して送る日々は、うまくいかないことばかり。視界が少しずつ広がること、手足が動くようになること、反射に振り回されること。大人なら意識しない変化が、エミにとっては毎回大事件になる。


ある時、エミは自分の腕が上がるようになったことに気づく。以前よりも体を動かせるようになり、成長を実感するエミ。ところが、ママの指を握ったことで、今度は自分の手が勝手に閉じてしまう感覚に戸惑う。開きたいのに開けられない。さらには自分の髪の毛をつかんでしまい、離せずパニック状態に。生まれてから少し日が経ったとて、赤ちゃんの身体は、まだまだ自分のものになりきっていないのだ。


赤ちゃんが手を握るしぐさは、大人から見れば愛らしい。けれど、エミの視点から見ると、それは自分の体が自分の命令に従わない不思議な現象でもある。かわいさの裏側には、発達途中の体ならではの混乱がある。そう知ると、赤ちゃんの不器用な奮闘を、ますます応援せずにはいられなくなるだろう。


文=アサトーミナミ


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