正直、赤ちゃん向けのおもちゃは、大人から見れば、どこが楽しいのか分からない。たとえば、寝ている赤ちゃんの上で、音楽にあわせて飾りがくるくる回るメリー。これだけの仕掛けで本当に赤ちゃんを惹きつけられるのかと疑問に感じてしまう。だが、実際に赤ちゃんの反応を見ていると、その食いつきぶりには驚かされる。もしかしたら、その単純さこそ、赤ちゃんにとっては意味があるのかもしれない。
『赤ちゃんに転生した話』(茶々京色/KADOKAWA)は、元社畜の男性が赤ちゃんのエミに転生する成長コメディ。か弱い体で日々の成長を体験していく姿には、思わずふふっと笑わされてしまう。大人の感覚では単純に見えるものでも、赤ちゃんの目にはまったく違って映る。そのズレが、本作の魅力だ。
ママさんが用意してくれた赤ちゃん向けのメリー。最初はベタなおもちゃだと冷静に見ていたエミだが、目の前でゆらゆら動く飾りを眺めているうちに、夢中になってしまう。「水族館の魚を眺めているような感覚」という受け止め方がなんとも楽しい。まだ視力も体の動きも発達途中の赤ちゃんにとって、目の前で揺れる飾りや音は、世界を知る大きな刺激になるのだろう。