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「運命の人」と信じた相手と10年を過ごし、いよいよ夫婦になれる。しかしその未来が相手の裏切りによって崩れてしまったら、気持ちをどこに置けばいいのだろうか。『今際の際のファムファタール』(文野紋/KADOKAWA)は、終わった恋から抜け出せない女性の執着と愛憎を、息苦しいほど濃密に描いた作品だ。


風香が恋人のゆうちゃんと出会ったのは19歳のときだった。気持ちが通じ合い、北千住の家にはふたりで重ねた10年分の思い出が残っている。そしてプロポーズを受け、ゆうちゃんの家の墓にも挨拶し、風香はようやく自分の居場所を得ることができたと思っていた。少しの価値観の違いがあっても、自分たちは「運命のふたり」だから乗り越えられると信じて疑わなかった。


ところが、婚姻届を提出する当日、ゆうちゃんは腹痛を理由に延期を申し出てくる。予定していた日に入籍できず不安を募らせていたある日、風香が目撃したのは、自宅に知らない女性を連れ込んでいる彼の姿だった。こうして10年間続いた恋は突然終わりを迎えてしまう。その後、風香は気持ちを切り替えて婚活パーティーに参加し、新しい恋人もできるのだが、そんな彼女の前にゆうちゃんが何事もなかったかのように再び姿を現してくるのだ。


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