ギクシャクした父と息子のもとにやってきたのは、人の心を理解する不思議な生き物…。家族再生を描いたホームコメディ漫画『きみのカチカチ』
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世間では「共感する」や「心に寄り添うこと」は当然のようにやるべきだと言われている。これは最近の話ではなく、ずっとそうであった。それは“言うは行うより易し”であり、実際に共感し心に寄り添うのは思った以上に難しいからだ。仲の良い友達や恋人であっても、そして家族であっても簡単ではない。
不思議な生き物と家族が出会う物語『きみのカチカチ』(圓山りす/ヒーローズ)の第1巻が発売された。本作は圓山りす氏の初単行本で、柔らかい鉛筆で描いたような温かみのあるタッチと精細な描き込みに引き込まれてしまうだろう。
そして物語は父一人子一人で必死に生きていたある家族の朝の様子から始まる。整理され、片付いたアパートで、息子が起床し朝食を作って食べ、笑顔で学校へ。その反面、だらしなさそうな父親は何とか起きて同じく朝食を食べ、やる気を出して仕事に向かう。
ただ、そこには当たり前のようにふわふわした毛玉のような生き物がいる――。