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「編集者の私が物語を左右してしまったのではないか」文芸誌編集者の漫画を描く中で見えた、彼らの謙虚さとは【北駒生インタビュー】

2024年10月22日

  • 『銀河のカーテンコール』の北駒生先生による、待望の最新作『書くなる我ら』(いずれも講談社)。主人公は、小説界に熱い風を吹かせたいと望む、文芸誌「群青」の編集者・天城勇芽。ある日、編集長から若い世代向けの新文芸誌創刊の計画を聞かされた彼女は、作家集めに奔走する。そんな彼女が出会ったのは、酪農家、ミュージシャン、前科者……様々な人生を生きる小説家たち。静かに、そして熱く物語を紡ぐ「書く」人と「編む」人たちの群像劇となっている。


    本記事では『書くなる我ら』単行本第1巻の発売を記念して、北駒生先生にインタビューを敢行。もともと好きだったという小説を漫画で描く上での葛藤、そして実在の文芸誌への取材を通して得た新たな創作の糧とは?


    小説界は色々な世代が描ける珍しい表現ジャンル


    ――まず、物語の舞台を小説界とされた理由を教えてください。


    北駒生さん(以下、北):何かにひたむきに打ち込む人たちの群像劇に興味があったんです。物語の舞台が学校の部活や会社だと、性別や年代で区切られてしまうかもしれませんが、小説は老若男女が参入し各々が自由に表現できる場。作中で酪農家、ミュージシャン、女優と異なる職業の人たちが一堂に会するように、小説界は色々な世代が描ける珍しい表現ジャンルなのではないかと。

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