ダ・ヴィンチWeb


『リストルージュ』(灯晴ほく/秋田書店)は、人間が絶滅危惧種となり、保護される世界を舞台にした異色のファンタジーである。「人間が守られる側になったら」という大胆な発想の先で描かれるのは、種族を超えて芽生える優しさと恋心だ。


この世界に残された人間は、わずか10人。かつて人間を主食としていたキメラ族は、人類が絶滅しないよう保護する立場へと変わっていた。キメラ族の少年・ミラも、人間の少女・カレンの世話係を任されることになる。当初は「保護対象」として接していたミラだったが、一緒に過ごす時間が増えるにつれ、カレンをひとりの少女として大切に思うようになっていく。しかし、人間を絶滅から救うため、カレンに結婚話が持ち上がってしまうのだった。


人間という希少な存在をめぐって周囲の思惑が交錯する一方で、ミラとカレンの心の距離はだんだんと近づいていく。しかし現実は無常だ。結婚式は刻一刻と迫り、ミラの心は世話係としての立場と恋心の間で大きく揺れ動いていく。ふたりの穏やかな時間があるからこそ、ふたりに立ちはだかる現実が、より切なく胸に迫ってくるだろう。そしてついに訪れた結婚式当日、ミラが下す決断とは——。


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