“親の出来”を計られてるみたい…『合格にとらわれた私 母親たちの中学受験』が問いかける中学受験の本質と親子の距離
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首都圏では5人に1人が受験すると言われるほど過熱する中学受験。塾での勉強はもちろん、家庭でのサポートが必須となる中学受験は、親にとっても戦いといえる。『合格にとらわれた私 母親たちの中学受験』(とーやあきこ/KADOKAWA)は、中学受験を舞台に親子の葛藤と距離感を描いたセミフィクションである。
自身の諦めた中学受験を娘の綾佳に託す母・真澄、マイペースながら親子で勉強を楽しむまりんと母・かなえ、夫の意向で中学受験をする優也と母・潤子。同じマンションに暮らす3家族を軸に物語は進んでいく。それぞれの家族の葛藤や問題とともに、一緒に頑張ろうと言い合える仲だった関係が、距離の近さゆえに徐々に歪んでいく様子が描かれる。果たして彼らは一緒に笑い合うことができるのか。
ひたむきに中学受験に向き合う子どもたちと、焦りやプレッシャーから次第に合格にとらわれていく大人たち。本作は、中学受験が単なる子どもの試験ではなく、親の戦いでもあることを鮮明に描き出している。親の育った環境、経験、後悔や願望が複雑に絡み合い、子どもの受験に影響を与えていく様子が現実社会を強く反映している。