マッチングアプリの条件/【吉澤嘉代子 エッセー連載】ルシファーの手紙#9
2024年10月31日
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―時は令和。恋愛産業革命。 人々は運命の出会いを求めてインターネットの海へ旅に出た。―
一昔前までは何処の馬の骨かもわからない相手と会うなんて危険で愚かしいという風潮だったはず。それが気付けば、私の周囲でもマッチングアプリの使用が珍しいものではなくなった。
希望の家賃や地域を入力し条件に合う物件を絞るように、年収や嗜好から気軽に相手を探すことは時間のない現代人にとって当然効率が良いだろう。
それでも自分には縁のないものだと思っていた矢先、友達から「吉澤嘉代子のコミュニティもあるんだよ」と聞いた。アプリ内に自分の好きなものをアイデンティティのように追加できるハッシュタグがあるらしい。私の音楽を聴いてくれる人はどんな人たちなのだろうと興味が湧いてしまう。だめだ、気になる。
かくして私はマッチングアプリを初めてダウンロードした。心臓が飛び出そうになりながらプロフィールに自分の宣材写真を選ぶと弾かれてしまう。世に出している写真はなりすまし防止のために設定できないようだ。