腹が減り、のどが渇いてどうしようもない――。
今から3000年以上前の古代エジプト。王墓建設を任された職人たちが食糧配給の遅れに耐え兼ね向かったのは役人たちのいる葬祭殿だった。座り込んだ職人たちは王・ラメセス3世の治世への不満を役人たちにぶつけた。
記録に残るなかでは最古級とされるストライキが起こった瞬間だった。
ラメセス3世は一般に紀元前12世紀前半から半ばにかけての約30年間エジプトを統治したとされる。地中海あたりから襲来した海の民を退け、軍事面では秀でた手腕を発揮した。だが、国内経済を疲弊させ政治的な混乱をもたらしもした。王権は弱まり、ラメセス3世は権力闘争に巻き込まれ謀殺されてしまう。
一言では言い表せないラメセス3世と、その統治下の実相が今でもわかるのは、文字資料が残されているからだ。