映画化も果たした『#真相をお話しします』(新潮社)の衝撃から約4年、結城真一郎さんが新たなステージへと踏み出した。『少年ABCの完璧な選択』(新潮社)は、中2の少年たちによる完全犯罪、その15年後の誘拐事件を描いた長編ミステリー。友情をまっすぐに信じ、何だって乗り越えられたあの夏と、守るべき家族ができた現在。切なさとヒリヒリするような緊迫感に満ちた本作について、結城さんに語っていただいた。
家族や友情をテーマに、人間を掘り下げたミステリーを書きたい
──結城さんは、作品ごとにテーマやターゲットを変えているそうですね。今回の『少年ABCの完璧な選択』は、どのような作品を目指して執筆されたのでしょうか。
結城真一郎さん(以下、結城):今回の目標は、「結城真一郎=『#真相をお話しします』」というイメージを覆すことでした。『#真相~』は、現代的なガジェットを使ったアイデア勝負の5編。そういうドーパミンドパドパ系のネタとは、また違った面白さを前面に押し出したいと思いました。
登場人物が、物語の最後にどんな結末を迎えるのか、問題に対してどう落とし前をつけるのか。チープな表現ですが、人間を描くことで読者の気持ちが動かせたらと思って。
もちろんアイデア一発勝負の作品もそれはそれで面白いのですが、敬愛する東野圭吾さん、宮部みゆきさん、伊坂幸太郎さんの背中に少しでも追いつくためにも、普遍的なテーマを中心に据えたうえでしっかり面白いものを書きたい。そんな誓いを立てて、始めた連載でした。
──実際、東野圭吾さんにおける『白夜行』のような、作家を一段上のステージへと引き上げる作品になりましたね。
結城:本当ですか? 実は連載が始まる前に、担当編集の方と「東野圭吾における『白夜行』のような話にしましょう」と話していたんです。内容的な話ではなく、「そういう位置づけの作品にしたいよね」と。もしそう感じていただけたのなら、とてもうれしいです。
──青春ミステリーであり、ヒューマンドラマのような読みごたえもありました。その点も意識したのでしょうか。
結城:そうですね。友情や家族といったテーマを中心に起き、登場人物の内面をどれだけ掘り下げられるか。主要人物だけでなく、彼らを取り巻く家族についても奥行きを持たせるように書くというのが、自分に課したミッションでした。
仲間と一緒なら何でもできる、14歳の無敵感
――『少年ABCの完璧な選択』では、中学2年生の少年3人が、幼なじみの乃愛を虐待から救うため、母親と交際相手を殺害します。警察に捕まりながらも法の死角を突き、無罪放免を勝ち取りますが、15年後に起きた乃愛の誘拐事件によってふたたび窮地に陥っていく。この作品が生まれた、最初の出発点を教えてください。
結城:ネタバレになるので詳しく言えませんが、完全犯罪となりうる、ある法律関係のネタを思いついたことが出発点でした。法律について調べたり、法律家に話を聞いたりしたところ、「この方法を押し通せば逃げ切れる」とわかって。そこから、このネタを一番ドラマチックに見せるストーリーを考えていきました。