※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年10月号からの転載です。
丸木文華さんは、ゲームのシナリオライターから、BL・TL作品を数多く手がける人気作家となり、昨年には『冷たい骨に化粧』を刊行し一般文芸にも活躍の幅を広げている、今注目の作家だ。そんな丸木さんが今回、初の長編ミステリー小説となる『ミルテの指』を上梓した。作品について、そして丸木さんご自身について、お話をうかがった。
指を切り落とし、鉢に植える――。そんな残酷な場面を丸木文華さんは幼い頃、母に読んでもらった童話で知ったという。題名を忘れても指の記憶だけは消えなかった。大正耽美ミステリー『ミルテの指』は、童話『ミルテの木の娘』の記憶から生まれた。
丸木文華さん(以下、丸木):ほかにも『青ひげ』など怖い童話は読みましたが、こんなにも具体的に指を切って植える、なんて話はあまりないですよね。ずっと憶えていて、いつか使いたいと思っていたんです。もともと美しい女性が殺される物語を考えていたので、この童話をモチーフにすることにしました。