寺地はるな「変わっていくことは、悲しいことではない」新刊『雫』で描いた、ゆるやかにつながる同級生4人の30年【インタビュー】
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※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年12月号からの転載です。
ジュエリーのモチーフは、ひとつひとつに意味がある。星は魔除け、鍵は繁栄、馬蹄は幸運を呼び込むとされている。大地に降る雨をかたどった雫型は、生きるエネルギーの象徴。雨の雫が集まって川へ海へと流れ込み、やがて空にのぼっていく。その繰り返しから“永遠”を意味するという説もある。
寺地はるなさんの新刊『雫』も、まさに“永遠とは何か”を問いかける物語だ。30年という年月をかけ、永瀬珠はその問いに自分なりの答えを見出そうとする。
取材・文=野本由起 写真=下林彩子
「“終わりから始まる物語”という漠然としたイメージが、最初に思い浮かびました。過去にさかのぼっていく話を書いてみたかったし、そうすることで何度も読み返したくなる小説になれば、と。“終わり”から建物の解体を連想し、その中で受け継がれていくリフォームジュエリーについて描いてみようと思いました」