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“稀代のコント職人”と称されるほどの独創的な世界観で大きな注目を集めるシソンヌのじろうさん。何気ない描写からあふれ出る、センスとユーモアに富んだ言葉の数々は、先日発売された小説『あの子が故郷に帰るとき』(双葉社)でもいかんなく発揮されている。


写真のなかに映る一人の女性――。会ったこともないその人の半生を妄想だけで綴った本作は、はたしてどのようにして生まれたのか。当時の制作の思い出話とともに、じろうさんの創作の裏側に迫った。


振り返ると、まるで修行のような連載でした(笑)


──本書はウェブマガジン「雛形」で連載されていた短編小説を文庫化したものです。一度書籍化され、それから約8年を経ての文庫化というのも珍しい感じがしますが、やはり感慨深さはありましたか?


シソンヌじろうさん(以下、じろう):いや……初めての文庫だなぁと思ったぐらいでした(笑)。


──意外とあっさりとした感想だったんですね(笑)。じろうさんが手掛けた小説としては『甘いお酒でうがい』(KADOKAWA)に続く、2作目となります。当時を振り返ると、どのような思い出がありますか?


じろう:この短編小説は最初から明確なコンセプトがあり、見知らぬ女性の写真とその方のプロフィールや住居歴を材料に、すべて僕の妄想だけで、その女性の半生を創作していくというものでした。そうした物語の作り方自体はすごく好きな作業でしたね。ただ、連載ということで締め切りもありましたし、やっぱりキツいところも多くて。自分の好きなタイミングで書くのとは違い、“やらなきゃいけない”という感覚がつねにあったので、すごく大変だった記憶があります。もはや、今となっては毎回どうやって物語を絞り出していったのか、あんまり覚えてないぐらいです(笑)。


──そうなんですね(笑)。また、10篇の短編の主人公がすべて女性というのも印象的でした。このアイデアはどこから生まれたものなのでしょう?


じろう:これは担当編集者さんから提案していただいたものでした。シソンヌのコントでも僕は女性を演じることが多く、そのひとつに「川嶋佳子」というキャラがいるのですが、彼女の日記を綴ったものが小説『甘いお酒でうがい』だったんです。そうした背景から、今作でも主人公を女性にしたいという案を出してくださったようです。基本的にこの連載はほとんどが受け身の作業で、物語のモデルとなる女性の写真も選んでいただくことが多かったですね。


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