まだまだ暑さが厳しいこの時期は、背筋がひんやりするホラー小説が恋しくなる。思いっきり恐怖の世界に浸りたい――。そう思っている方にぜひおすすめしたいのが、700ページ超という圧倒的大ボリュームの『此方より 小林泰三未収録短編集』(小林泰三/KADOKAWA)だ。
著者は、若くして死去した「ホラー短編の鬼才」こと小林泰三氏。本作は、著者のデビュー30周年記念として発刊された。圧巻なのは、内容の豪華さである。なんと、単著未収録だった幻の14編がこの1冊にドンと収録されているのだ。
短編ホラー小説集は1作目に収録された作品が醸し出す雰囲気が重視されることも多いように感じる。ホラーと一口に言っても、心霊やヒトコワ系など、ジャンルはさまざま。最初の1作目を読み、自分の感性に合うか確かめる読者は少なくない。