※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年9月号からの転載です。
◎今月の編集者
実業之日本社 編集本部コンテンツ開発部チーフ・プロデューサー 村嶋章紀さん
小川哲さんを知ったのは『地図と拳』を読んだのがきっかけです。その後、YouTubeや対談記事を追ううち、小川さんの言葉には論理的な快感があると感じるようになりました。まだ言葉になっていない感覚や関係を、ここまで美しく言語化できる人がいるのか、と。
実は僕自身、文章を書くことには苦手意識があるんです。小説の書き方の本を読んでも、どこかしっくりこなかった。知りたいのは書き方ではなく、作家は世界をどう見て、その感覚をどう物語や文章にしていくのか。そのプロセスなんです。
そんなときに観ていたのが、ゲンロンカフェの「小川哲の文学BAR」でした。小川さんがさまざまな作家を招き、物語をどう作っているのか聞いていくシリーズです。これは本になると思い、新潮社経由で企画書を送ると直接ご本人から「やりましょう」とお返事をいただきました。