ダ・ヴィンチWeb


読書中、作中に登場する料理やスイーツの描写から想像が大きく膨らみ、思わずお腹が鳴ってしまった経験はないだろうか。『ハラヘリ読書』(宮田ナノ/KADOKAWA)は、古今東西の文学作品で描かれる魅力的な食べ物を、大の食いしん坊を自称する著者・宮田ナノ氏が紹介していくコミックエッセイである。


取り上げられる作品は、近代文学から現代の小説、児童文学まで多岐にわたる。例えば、森茉莉がエッセイで綴った贅沢な「シュウクリイム」や、内田百閒の随筆などに登場する味わい深い「おかうこ(たくあん)」、村上春樹がエッセイで描いたシンプルな「オムレツ」、森見登美彦の小説に出てくる芳醇な「ラム酒」など、どれも大いに食欲が刺激される、魅力的なものばかり。そして宮田氏は、作中の食べ物をピックアップしているだけでなく、文豪たちの独特な言い回しをマネしながら「森茉莉ごっこ」などに興じるなどして作品世界と料理を全身で味わっているため、ほかにはない説得力を感じられるのだ。


  • 続きを読む