『夜のかたすみで君とアイスを』(杉/KADOKAWA)は、夜の公園を舞台に、いつもそこで顔を合わせる男女が交差するラブストーリー。出会った当初の近すぎず遠すぎないふたりの距離に心地よさを感じ、やがてそれぞれの優しさと報われない恋心に温かさと切なさが感じられる物語だ。
社会人の遥には、仕事で落ち込んだときにするルーティンがあった。それは会社帰りにお気に入りの公園に寄ってアイスを食べること。これをすることで「これ食べたら反省はもうおしまい」と自分に言い聞かせることができ、暗くなった気持ちをリセットしていた。そんなことを繰り返していると、ひとりの青年と公園でよく顔を合わせるようになり、いつしか言葉を交わす間柄になる。ふたりは「おねーさん」「お兄さん」と呼び合い、名前も知らないまま、一緒にアイスを買って他愛のない話をしながら食べる。これまで公園ではひとりで過ごしていた時間に変化が訪れ、彼と会うことが遥の新しい楽しみになった。