一生に一度の運命の出会い。しかし彼は目に見えない障害を抱えていた。幸せと葛藤が入り混じる恋路の行方は
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この人のことが好き。叶うなら、ずっと一緒にいたい。
しかし、好きだからこそ、ずっと一緒にいたいからこそ、苦しく辛い道もある。
そんな前途多難な恋愛を描く物語が、『私たちは凸凹している』(慎結/KADOKAWA)だ。
恋愛なんて後回し! 大好きなアパレルの仕事に日々情熱を燃やすデザイナー・サキは、ある日酔いつぶれていたところを見知らぬ男性に“拾われた”。
彼女を介抱したのは年下の青年・アキラ。サキの忘れ物を届けにきたことから再会し、互いに惹かれ合ったふたりは恋人として付き合い始めることに。
だが、彼の突飛な行動に翻弄されてしまうサキ。そこではじめて、アキラが発達障害を持っていることに気がつく。
それでも、互いが互いを好きな気持ちは変わらない。ふたりで一緒に居続けるためにサキはアキラのことを、そして発達障害を理解しながら共に歩もうとする。
「もうしばらく恋はいいかな」と思っていたのに、この人となら、と思えた。そんな出会いがどれほど貴重で、そんな相手と恋人同士になれることが、どれだけ奇跡的か。
この巡り合わせの尊さがわかるからこそ、読者はサキとアキラの恋の行く末を応援してしまう。
しかしこれまでに何度か恋を経験した人であれば、ふたりの恋路が今後どれだけ大変なものになるか、容易に想像できるだろう。
アキラのために変わろうとするサキ。アキラもまた、そんなサキの想いに触れ変わろうとする。しかし長年沁みついた価値観はそう簡単に変えられない。
好きという気持ちだけではどうにもならないことが、確かにある。
それでも一緒にいたい。離れたくない。この人と生きていきたい。
そんな葛藤をストレートに描く本作は、共感なくして読めないはずだ。
ふたりは目の前の様々な壁を無事乗り越えられるのか? その結末を、ぜひ見届けてほしい。
文=ネゴト / 曽我美なつめ
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