ダ・ヴィンチWeb


これはミステリーなのか、はたまたメタ構造を取り入れたサスペンスなのか――。序盤はそうした戸惑いが頭の中を逡巡する。しかし、そんな邪念はすぐさま消え去り、やがて豪華な俳優陣による競演にすっかりと見入ってしまう。ところが、物語が進み、再び作品を俯瞰で捉える余裕が出てくると、ある感情が脳裏をよぎる。“自分は今、一体何を観せられているのだろうか?”


映画『本当にあった話(の話)』をひと言で表すなら、最初に思い浮かぶ言葉は、カオスだ。とはいえ、そこに小難しさや不条理さといった要素は一切ない。観る側の思考を一度たりともノッキングさせることなく、最後の最後まで淀みのないまま、想定していた展開とはまるで違う世界へといざなってくれる。つまり、カオスでありながら、最高に心地よく、そして形容しがたい気味の悪さがこの映画にはある。


登場シーンからすぐさま引き込まれる、水上のミステリアスな怪演


原作は、芥川龍之介賞候補作の『ジャップ・ン・ロール・ヒーロー』でも知られる鴻池留衣の同名小説。雑誌「文學界」で掲載された『フェミニストのままじゃいられない』を改題して生まれ変わった本作を、これが商業映画デビュー作となる武井佑吏監督が映画化した。


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