『でかいはち』(遊ハち/KADOKAWA)は、その名の通り、突然現れた「でかいはち」と人間たちの日常を描いたハートフルコメディ。「次にくるマンガ大賞」に2年連続でノミネートされた著者・遊ハち氏の、SNSから発信された人気作である。
ある日突然、人間たちの前に現れた謎の生物「でかいはち」。体長は約40センチ。蜂と聞くと怖そうだが、触ってみると「ふとったねこ」のようにふわふわもこもこ。しかもカブトムシより弱く、はちみつよりもポテトチップスが好き。さらに肝心の針はお尻に埋没しているという、なんとも不思議な生き物だ。そして彼らにもそれぞれ個性があり、大人しい子もいれば、ワガママな子もいる。人間たちとの出会い方もさまざまで、でかいはちをきっかけに友情を育むオタク高校生や、ひと夏をともに過ごす少年、寡黙な職人など、さまざまな人々とでかいはちとの交流が描かれていく。
面白いのは、これほど摩訶不思議な生物が出現したのに、物語の中心にあるのはごく普通の日常であることだ。でかいはちは一体なんなのか、なぜ突然現れたのかといった謎よりも、目の前にいるふわふわした生き物と人間がどう過ごすのかに焦点が当てられている。とまあそんな小難しいことは置いておいて、このでかいはちがとにかくかわいい。ずんぐりむっくりした体でちょこまかと動き回り、ときにはワガママを言い、ときには人間に寄り添う。その姿を見ていると、「こんなのが家にいたら困る」と思う一方で、「いや、やっぱり一匹くらいいてほしい」と思ってしまうだろう。