とにかく、できるだけ早く、絶対に映画館で観てほしいと、心からお願いしたい映画がある。それは、1996年生まれで弱冠29歳の門脇康平監督が、企画として立ち上がってからおよそ5年の歳月を捧げて完成させた、手描き長編アニメ『我々は宇宙人』(配給 : TOHO NEXT・NOTHING NEW)だ。
『リリイ・シュシュのすべて』をも連想した「心をえぐられる映画」
そのクリエイターが注いだ情熱と時間、いや執念以上に、本作は唯一無二の感動と衝撃を与えてくれる。
実際に試写では「日本アニメ映画史に残る大傑作」「一度観たらしばらく観られなくなるくらいの衝撃」「途方もない映像体験を約束します」「こんなに有意義な映画が世界にあることが嬉しい」など絶賛の嵐。筆者個人としても2026年の映画No.1は本作に「決定」。生涯でも3本の指に入る大傑作だった。
ただし、「心をえぐられる映画」であることだけはご留意いただきたい。誰もが経験し得る「痛み」を、物語上でも、アニメとしての表現としても、容赦なく描いており、おそらく「小学生時代の(つらい思い出も込みの)記憶の扉」を開いてしまうだろう。思わず逃げ出したくなったり、本気で胸が苦しくなる人もいるだろう。
小学3年生の子どもの日常をつづっていながらも、どちらかと言えば大人向けの内容ではある。青春の「暗黒部分」を切り取るような作風から岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』を連想したし、後述するように小学生時代のノスタルジーを喚起させる内容から同監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を思い出す人もいるはずだ。
ハードルは高くないし、必要な誰かに届いてほしい
一方で、本作は楽しむためのハードルが高いわけでもない。アニメとしての圧巻な表現だけでも観る価値はあるし、美しくも楽しい場面もある。構成と脚本が練りに練られていてミステリー的な引っ張りが上手く、ハラハラするシチュエーションもあってエンタメ性は高い。