映画『八つ墓村』が9月18日から公開されている。原作は、横溝正史の『八つ墓村 金田一耕助ファイル1』(角川文庫/KADOKAWA)。これまで幾度も映像化・舞台化され、シリーズ累計発行部数5,500万部を超えるベストセラー小説だ。
監督を務めるのは、「呪怨」シリーズなどで知られる清水崇監督。原作の魅力を受け継ぎながら、舞台を現代に置き換え、新たな解釈と監督ならではの恐怖演出を加えた本作は、まさに令和版『八つ墓村』。これまでの『八つ墓村』を知る人はもちろん、今回初めてその物語に触れる人にも楽しんでほしい一作だ。
清水監督に、令和の時代に『八つ墓村』を描くにあたって意識したことや、監督ならではの演出、そして本作で描いた「現代的な怖さ」について伺った。
清水崇「一般的な社会常識から外れたように見えるものを、世間は必ず、一度は拒絶する」
――映画やドラマでさまざまにリメイクされてきた『八つ墓村』。最初にオファーを受けたときは「自分が撮るのはおこがましい」と思われたそうですね。
清水 崇(以下、清水):僕は原作より先に、1977年に公開された野村芳太郎監督の映画版を観たんですよ。あとから原作を読み、楽しみつつもあまりの違い(改変)に驚いた。ホラーという言葉が今ほど定着していなかった当時、オカルトまたは怪奇映画なんてまっとうな大人が観るものではない、子供騙しみたいな雰囲気が漂っていた。そこにあえて、野村監督は切り込みたかったんだと思うんですよね。社会派といわれる彼だけど、『影の車』なんて『ローズマリーの赤ちゃん』だし、『エクソシスト』が流行れば、破傷風で悶える少女の『震える舌』を撮るし、実はかなり洋画ホラーに影響を受けている。そこで『砂の器』の成功で、次はショーケン(萩原健一)に渥美清、小川真由美、山﨑努といったスターを勢ぞろいさせて怪奇映画を撮ることで、世間体を気にする大人も堂々と観られる環境を整えたのだと。それは名優グレゴリー・ペックが『オーメン』に出て世間を騒がせたように。