猫のように見えるが、どう考えても猫ではない。『猫のようなナニカ』(アヅミイノリ/KADOKAWA)は、真っ黒な毛に丸い目を持つ謎の生き物と、小学生の少年との日々を描いたハートフルコメディだ。見れば見るほど不可解なのに、なぜか「かわいい」と思えてくる。そんなナニカの底知れない魅力にじわじわとハマっていく作品だ。
小学6年生の連矢は、雨宿りをしていた黒猫らしき生き物と出会う。親に黙って家へ連れて帰り、ひとまず面倒を見ることにしたものの、よく観察してみると何かがおかしい。全身は毛で覆われていて、口や足がどこにあるのかわからない。猫なのかどうかも怪しいその生き物に、連矢は「猫のようななにか」という理由から「ナニカ」と名づける。
家に迎えられたナニカは、すぐに連矢との暮らしになじんでいく。言葉を交わせるわけではないものの、連矢のそばに寄り添ったり、彼のために何かをしようとしたりと、その姿からは懐いていることが伝わってくる。連矢もまた、少し変わったこの新しい家族との生活を楽しんでいる。ところが一緒に過ごす時間が増えるにつれて、ナニカの「猫らしからぬ」生態が次々と明らかになっていく。